R-Pad2内蔵 USB制振アダプター。初披露したライブ配信イベントで何が起こっていたのか?
約10年前に執筆した著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』の付属CD用にレコーディングした楽曲たち。ミックスダウンまで私が細かく立ち会った初の作品でした。
迷ったのは、ドラムの音色。私の好みでは、スネアは “スパーン!” と鳴ってほしかった。実際、演奏段階ではビシバシ鳴っていたスネアだったのに、マイクを通して録音された音は、なんだ渋みのある大人な音色といった印象だったのです。
普通ならイコライザーなどで音作りして、好みの雰囲気に近づけるところ。しかし、オーディオ試聴用の音源なので、イコライザーは使いたくなかったのです。10年前のことですので記憶が薄れてきていますが、確か音量調整のみでミックスして完成させたと記憶しています。
あえてイコライザーなどのエフェクターは使わず、決して音作りしない音源制作。この音をタイムカプセルとして記録しておき、未来のオーディオが発展して、録音現場で鳴っていた “スパーン!” という実際のスネアを解凍するように再現してほしい。そのためには、ミックス段階では素材そのものに近い状態であるべきであり、エフェクトしないほうが未来へ良いパスを出せるだろう。10年前、そんな気持ちだったのを覚えています。
時は、来たり!
R-Pad2内蔵 USB制振アダプターで、著書付録CDの音源を何気なく再生した瞬間、タイムカプセルが開いたのでした。あのレコーディング現場で興奮した “スパーン!” というスネア・ドラムのサウンドが聴こえてくるではないですか!
私が顔を赤らめ汗をかき、興奮していたのは、実はこういう理由があったのでした。10年越しに、あの日の心残りであった、あの日に達成できなかったサウンドが、そこにあったのですから。
R-Pad2内蔵 USB制振アダプターも、決して音作りを狙ったアイテムではありません。“アナログマスターテープのような滑らかなサウンド” という確かな目標値を羅針盤に開発を進めましたが、それはアナログチックな丸い音色を狙ったものでは決してありません。
あくまで、音楽制作現場に関わった人なら誰もが実感している、マスター音源としてのアナログマスターテープ素晴らしさ、デジタル録音物を凌駕しているポイント。私が実際に経験した、アナログマスターテープの途切れない音の波。そういった再現を現在最高峰のデジタル再生を超えて実現すべく、R-Pad2内蔵 USB制振アダプターを開発しました。
その結果、何がトリガーになったのか開発したレクスト側にも分からないのですが、あの日のタイムカプセルが開いたのです。“スパーン!” というスネアドラムの気持ち良いことといったら!!
R-Pad2内蔵 USB制振アダプターをご予約いただいている皆さま、今週末の完成を目指しただいま製作中ですので、どうぞ楽しみにお待ちください。皆さまの愛聴盤のタイムカプセルが開き、また夢のサウンドが飛び出しますことを願って引き続き製作を頑張ります。